CTOの学習帳

日々学んでいること、考え方などの思考整理

クリスマスに子どもが欲しがるおもちゃが品切れになるワケ

なぜ買いたくもないものを買ってしまうのか?

なぜやろうと思ってもないことをやってしまったののか?

そこには巧みに考えられた戦術があるからで、その要素を知っておくことで考えもなしにまんまとモノを買ってしまったり、必要ないことをやってしまうという暴走を止めることができるかもしれません。

影響力の武器という1985年初版の本ですが、行動経済、心理といった面で上記の要素を解説しており、非常におもしろかったので少し紹介します。

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なぜ買ってしまうのか

特に買うつもりもなかった商品を買ってしまったという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

自分もネットサーフィンしていると特に買う予定ではなかったものを買ってしまった経験があります。

なんでだろうと深く考えずにいたのですが、この本はそういう体験を詳細に分析して「なぜ」買ってしまったのかを6つの要素に分解して教えてくれます。

これが非常に詳細な例を用いており、わかりやすく、なるほどなーと声に出してしまうくらいの感じでしたので、今回は特にこれおもしろいなーと思った2つの原理を紹介していきます。

返報性の原理

知っている人も多いと思いますが、何かモノをもらったり、何かしてもらうとお返しせずにはいられないという原理ですね。

よくあるおばさまたちのランチ会である「ここは私がだしますよ!」という不毛な戦いも返報性の原理の罠にかかりたくないからです。

騙す側はこの原理を巧みに使ってきます。

例えば、訪問販売のアムウェイの手法は有名です。

いろいろな商品を詰めたBAGというかばんを、お試しという形で置いていきます。

置いていかれた住人は、2~3回ずつその商品をまんまと使うワケですが、ここに「利用させてもらった」という感情が生まれます。

こうなると、アムウェイ側に恩を感じるようになり購入に至る。

簡単にいうとこのような感じで原理は使われています。

また、返報性だけでなく、譲歩の原理というのも存在します。 相手が譲歩してくれたら、それに応えなければいけないという思いが生じるのです。

譲歩の原理を説明するおもしろい事例が紹介されていました。

ある少年が街で、声をかけてきます。

自己紹介をした後、今週開かれるボーイスカウトのイベントのチケットを500円で買ってくれないか?というお願いをされるのです。

さすがにそんなイベントには興味がないので断ると、少年は「そうですか」と納得します。

その後、「チケットがダメなら、このチョコバーはどうですか?1本100円なんです。」と明らかに20円で買ったようなチョコバーを押し売りしてくるのです。

ここで譲歩の原理が働きます。

最初のチケットを断ったから、少年は譲歩してくれたんだ、だからチョコバーくらいは買ってあげようというようなことになります。

これ、明らかにチョコバーなんか必要ないわけなんですが、すごく買ってあげてしまう気持ちがわかるんですよね。

本当に恐ろしい。

一貫性の原理

こちらは、コミットメントしたらそれを正しいことと認識しやめる理由を考えずに続けてしまう、そんな感じに解釈しています。

小さなことでもやることを決めたことはその後も正当化しやすい、つまり正当化バイアスにかかりやすいといったことになります。

レオナルド・ダヴィンチも「最後に断るより、最初に断る方が楽だ」と言うほどこの罠にはすぐにかかってしまいそうですね。

個人的にめちゃくちゃおもしろかった事例はタイトルにもある 「クリスマスに子どもが欲しがるおもちゃが品切れになるワケ」をおもちゃメーカーの策略とともに説明したものでした。

これ、特に深く考えなければやっぱ人気なんだなーで終わると思うんですが、ここには一貫性の原理を用いた戦略があったのですね。

懐かしのファービーを例にあげます。

クリスマス前にはこぞってファービーのCMが流れます、そうすると子どもは親にクリスマスプレゼントはファービーがいい!とおねだりしますよね。

親はこどもに対して、「そうかわかった、ファービーだな」とクリスマスにプレゼントする約束をします。 これが最初の小さなコミットメントです。

しかしながら、クリスマスプレゼントにファービーを買おうとおもちゃ屋にいくと、売り切れてるんですね。

子どもは、クリスマスプレゼントがないのは考えられないので、そこでは同じくらい魅力的な商品で妥協します。

クリスマスはこれで事なきを得るわけですが、翌年の1月、2月になると、メーカーはさらにファービーのCMを増やしてきます。

そうすると子どもは、よりいっそうファービーが欲しくなる。 するとおもちゃ屋に行くとあるんですよ、クリスマスには売り切れていたファービーが。

ここで親はクリスマス前にコミットメントしたのに対して、一貫性の原理が働きます。

なので、買ってあげちゃうんですよね。

これはすべておもちゃのメーカーの策略です。

  • クリスマス前にCMを流し、子どもに欲しいと思わせる
  • 親とクリスマスプレゼントの約束をとりつけてもらう
  • クリスマスには商品を少ししか卸さない
  • 売り切れになると、ここに希少性の原理が働き、さらに欲しくなる
  • 違う商品を買ってもらって、12月は売り上げを伸ばす
  • 1月、2月にCMを大量に流して、購買意欲を再度高める
  • 商品をクリスマスより多く卸す
  • 購入させる

なぜこんなことをするかというと、おもちゃメーカーはクリスマス商戦の時期は売上が伸びるんですが、その反動で1月、2月はまったく売上があがらないという課題を抱えていたんですね。

なので、1月、2月に売上を増やすために一貫性の原理と、希少性の原理を用いて巧妙に購買促進しているわけなのです。

まんまとハメられているわけです。

少し立ち止まって、おもちゃメーカーの立場に立って冷静に考えることが必要だという教訓でした。

組織開発に応用

一貫性の原理は、組織開発においても有効に利用できそうだなと考えています。

例えば、個人のビジョンを何かに書き出してもらい、小さくコミットメントしてもらいます。

そこから一貫性の原理が働き始めます。

自分が宣言したのだから、これは正しい、やり続けようと。

そして、一貫性の原理を強化するためには、公表することとなにかしら苦労するという体験が有効です。

なので、コミットメントした内容をチームで共有し、少しラーニングゾーンにかかるくらいの内容にすると強力なパフォーマンスにつながるのではないでしょうか。

これは学習する組織の自己マスタリー、共有ビジョンにつながりそうな内容ですね。

おわりに

他にも要素としては、以下の4つがあり、どれも「あー、こりゃやられそうだわ」と思うような内容ばかりでした。

  • 社会的証明の原理
  • 好意
  • 権威
  • 希少性

知っておくことで、自分の衝動にストップをかけたりすることができると思うので

もし気になったら一度目を通してみてください、そして感想を語り合いたいです。

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